基礎知識2026年5月11日最終更新: 2026.05.11

この記事の要点

  • デジタル遺産とは、ネット銀行口座・証券口座・暗号資産・SNSアカウント・サブスク・電子マネーなど、デジタルデータ・オンライン資産の総称
  • 暗号資産(仮想通貨)は相続税法上「財産」として相続税の課税対象。評価は相続発生時の時価(取引所価格)。Bitcoin・Ethereum等
  • SNSアカウント(Twitter/X、Facebook、Instagram等)は規約により遺族による削除・追悼設定の申請が可能。Apple ID は故人アカウント連絡先機能あり
  • 死後事務委任契約(民法第643条以下)やエンディングノートで ID・パスワード・口座を整理することが重要

近年、ネット銀行・ネット証券・暗号資産・SNS・サブスクリプションなど、インターネット上の資産やアカウントを保有する方が急増しています。これらは「デジタル遺産」と呼ばれ、相続実務において新しい論点を生み出しています。

紙の通帳や郵送通知がないため、ご家族が存在に気づかないまま放置されたり、パスワードがわからず引き出せなかったりするケースも珍しくありません。この記事では、デジタル遺産の種類ごとの対処法と、相続税法上の取扱い、生前対策のポイントを西東京市の専門家が解説します。

デジタル遺産とは

デジタル遺産には法律上の明確な定義はありませんが、一般的には次のようなものを指します。

  • ネット銀行・ネット証券・FX口座などの金融資産
  • 暗号資産(仮想通貨)
  • 電子マネー・QR決済(Suica、PayPay、楽天ペイなど)
  • SNSアカウント(X、Facebook、Instagram、LINEなど)
  • サブスクリプション契約(動画・音楽配信、クラウドサービスなど)
  • クラウドストレージ・写真・動画データ
  • ECサイトの会員アカウント・ポイント

主なデジタル遺産の種類

金融系(ネット銀行・証券・FX口座)

住信SBIネット銀行、楽天銀行、PayPay銀行などのネット銀行、SBI証券・楽天証券などのネット証券は、紙の通帳が発行されず、取引報告書も電子交付が原則です。家族が存在に気づかないまま、相続税の申告漏れにつながるリスクがあります。

暗号資産(仮想通貨)

Bitcoin、Ethereumなどの暗号資産は、相続税法上の「財産」として相続税の課税対象になります。国税庁の公表する取扱いに従い、相続発生時点の時価で評価します。bitFlyer、Coincheckなどの取引所に保管されている場合は残高証明書を取り寄せて評価します。

SNSアカウント

SNSアカウント自体には金銭的価値がない場合が多いものの、故人のプライバシーや遺族の心情への配慮から適切な処理が必要です。各サービスの利用規約に従って削除・追悼設定の申請を行います。

サブスクリプション・電子マネー

動画配信や音楽配信などのサブスクリプションは、解約しない限り課金が継続します。電子マネーやポイントは、サービスごとに残高の取扱い(相続可・払戻可・失効など)が異なります。

クラウドストレージ・写真データ

iCloud、Google Drive、Dropboxなどのクラウドストレージには、思い出の写真や重要書類が保存されている場合があります。各サービスの故人対応窓口にデータ取得を申請する必要があります。

デジタル遺産の発見が困難な理由

デジタル遺産は、以下の理由で家族が存在に気づきにくい性質を持ちます。

  • 紙の通帳・契約書が発行されない
  • 取引明細・利用通知がメールで届くため、メールにアクセスできないと把握できない
  • 2段階認証・生体認証によりログインができない
  • 暗号資産のウォレットは秘密鍵がなければアクセス不能

ネット銀行・証券口座の相続手続き

ネット銀行・ネット証券の相続手続きの基本的な流れは、従来の銀行と同様です。各金融機関の相続専用窓口に連絡し、所定の相続手続書類、被相続人の戸籍謄本、相続人の戸籍謄本・印鑑証明書、遺産分割協議書などを提出します。残高証明書は相続税申告のためにも必ず取り寄せましょう。

暗号資産の相続税評価

暗号資産は相続税法上の「財産」として課税対象です。国税庁が公表している「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて」に基づき、相続開始時点の時価で評価します。具体的には、被相続人が利用していた暗号資産交換業者の取引価格(残高証明書)に基づいて評価額を算定します。取引所を介さず個人ウォレットで保管していた場合は、評価が困難になり、秘密鍵が失われると相続自体ができなくなるリスクがあります。

SNSアカウントの対処法

Facebook(追悼アカウント・削除)

Facebookは、故人のアカウントを「追悼アカウント」に変更するか、削除するかを選べます。家族や友人がヘルプセンターからリクエストを送信し、死亡証明書類等を提出して申請します。

Instagram(追悼アカウント・削除)

Instagramも追悼アカウント化または削除が可能です。Meta社の所定フォームから申請します。

X(旧Twitter)(削除のみ)

Xは追悼機能はなく、家族からの申請によりアカウントを削除する対応になります。Xのヘルプセンターから故人アカウントの削除を申請します。

Apple ID(故人アカウント連絡先)

AppleはiOS 15.2以降、生前に「故人アカウント連絡先」を指定しておくことで、死後にその人がデータにアクセスできる仕組みを提供しています。生前指定がない場合は、裁判所の命令等に基づく申請が必要です。

Google アカウント(アカウント無効化管理ツール)

Googleは「アカウント無効化管理ツール」を提供しており、一定期間アカウントが使われなくなった場合に、指定した連絡先にデータを送付したりアカウントを削除したりする設定が可能です。

デジタル遺産の生前対策

エンディングノートでの整理

利用しているネット銀行・証券口座、暗号資産取引所、サブスクリプション、SNSアカウントなどを一覧にしてエンディングノートに記載しておきましょう。ただしパスワードそのものをノートに書き込むのはセキュリティ上望ましくないため、パスワード管理アプリの使い方を家族に伝えるなどの工夫が必要です。

死後事務委任契約(民法第643条)

民法第643条以下の委任契約を活用し、信頼できる第三者にデジタル資産の解約・削除などを依頼する「死後事務委任契約」を締結することができます。おひとりさまや、家族にIT知識がない方に有効です。

専用サービスの活用

近年は、デジタル遺産の整理・引き継ぎを支援する専用サービスも登場しています。これらを活用することで、家族の手間を大幅に減らせます。

デジタル遺産特有のリスク

デジタル遺産には以下のような特有のリスクがあります。

  • パスワードロック・2段階認証によりアクセスできない
  • 暗号資産の秘密鍵を失うと回収不能
  • サブスクリプションの解約漏れによる課金継続
  • FX等の信用取引で含み損が拡大していると、相続人が想定外の負債を負う可能性
  • ネット証券の信用取引・先物取引は被相続人の死亡で強制決済される場合がある

当センターでの対応事例

東久留米市にお住まいのNさんは、お父様がネット証券で保有していた株式と、Bitcoinを取引所に保有していたことに気づかず、危うく相続税の申告漏れになるところでした。当センターでは取引所への残高証明書の取り寄せ、国税庁通達に基づく暗号資産の時価評価、相続税の申告までワンストップでサポートいたしました。西東京市・清瀬市・新座市など近隣エリアでも、同様のご相談が増えております。

まとめ

デジタル遺産は、紙の証拠が乏しく見つけにくい一方で、相続税の課税対象となるため、申告漏れのリスクが高い財産です。生前のうちに資産を整理し、エンディングノートや死後事務委任契約を活用することが、家族への大切な備えとなります。

当センターでは無料相談を実施しております。エンディングノート生前贈与についてもあわせてご確認ください。当センターのサービス内容もぜひご覧ください。

当センターの実績 当センターでは、複数のネット銀行・ネット証券・暗号資産取引所にまたがる被相続人のデジタル資産を、メール履歴やパスワード管理アプリの情報から特定し、相続税申告までスムーズに完了させた実績があります。

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※免責事項:本記事は2026年5月時点の法令等に基づく一般的な情報提供を目的としており、個別の法律・税務アドバイスを行うものではありません。具体的なご相談は、専門家にお問い合わせください。

この記事の監修

株式会社 相続サポートセンター(みらいグループ)

税理士法人みらいを中心に、行政書士・社労士・不動産の専門家が連携。西東京市を拠点に、相続手続き・遺言書作成のワンストップサポートを提供しています。

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